なぜ避難しないのか ~ 水害時の避難情報に工夫を

西日本豪雨から11か月後の2019年6月7日、広島県内で5段階のうち危険性が2番目に高い 「警戒レベル4」=全員避難 (勧告または指示) が全国で初めて発令されました。しかし避難対象者46万人余のうち、実際に避難したのは775人で、わずか 0.17%にとどまったそうで、西日本豪雨で広島県内だけで130人以上が犠牲になったというのに、なぜ県民は逃げなかったのか? とテレビ新広島は問いかけています。 全町民2万4千人に避難勧告を出して約250人しか避難しなかった熊野町の三村裕史町長も、被害を受けるところと受けないところ、強弱をつけて今後はやっていかないといけない」 と語ったそうです。
(テレビ新広島 HPより)
市町村単位での避難勧告・指示は対象範囲が広すぎ、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。
私たちの上尾市では荒川という大河があり、堤防付近など危険な地域も間違いなくあります。しかしハザードマップを見れば、浸水が予測されない地域が大半です。(図は上尾市ハザードマップの荒川沿いを合成しました。) 予想浸水深2m以上の青色や、5m以上の紫色に塗られたエリアは限られており、田畑や沼地がほとんどで、そういう場所に建っている家屋は稀です。倉敷市真備町や常総市のように、家が立ち並んだ平坦地に広範囲に深い浸水が予想されるような地形ではありません。
また、まだ大丈夫だろう、という正常性バイアスがかかり、情況がひどくならないと避難しようとしない人が多いのですが、本格的豪雨になってからの屋外避難行動はむしろ危険です。上尾市では、2階への垂直避難で大方は助かるのではないかと思われます。