スフィア基準 2018年版が出ました

2018年11月6日に The Sphere Handbook 2018 「スフィア・ハンドブック」原文英語版が改訂されました。日本語版の改訂はまだのようです。日本では 「スフィア基準」 と呼ばれていますが、私は遅まきながら今回初めて日本語版 (第3版 = 2011年) に目を通してみました。
(参考 : スフィアプロジェクト公式サイト)
https://www.spherestandards.org/handbook-2018/
(参考 : スフィアプロジェクト 日本語版 第3版)
https://www.refugee.or.jp/sphere/The_Sphere_Project_Handbook_2011_J.pdf
スフィア・ハンドブックは、NGOのグループと赤十字社・赤新月社が参加して1997年に設立されたスフィア・プロジェクトが策定したもので、 国際紛争や内戦、大規模な自然災害によって生じた多数の避難民に避難施設や救援物資を含む人道援助を行うときの標準を定めたものです。そのため、日本の避難施設にはどうもうまく当てはまらないと見えて、トイレの数は男女1:3 とかいう数値だけが有名になってしまったようです。
リスク対策.com あんどうりすの『防災・減災りす便り』http://www.risktaisaku.com/articles/-/12466 では、スフィアの原理と考え方を知ってほしいとしています。
スフィアの原理は、以下の2つの中核をなす信念にあります。
1) 災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、従って、援助を受ける権利がある、
2) 災害や紛争による苦痛を軽減するために実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである。
そして技術的各章に被災者の生命を守るための4つの重要項目が書かれています。その1の「給水・衛生・衛生促進」に、トイレの基本指標として、
「子ども、高齢者、妊婦、障がい者を含む被災集団全員が安全に使うことができる」
「日中や夜間も、利用者、特に女性や少女の安全上の危険が最小化されるように設置されている」
ということが掲げられ、このあとに、やっとガイダンスノートの「男女のトイレ比3:1」というのが出てきます。当初は少なくとも50人に1つ、なるべく早期に20人に1つにすること、という記載もあります。
私たちとしては、スフィアの原理を日本の現実の中でどう生かすのか考えていく必要があるでしょう。
(写真は 一般財団法人消防防災科学センター「災害写真データベース」より陸前高田市の津波直後の様子)